今年最後の更新です
本日2度目の更新。
前回の記事で最後に「今年は何もいいことがなかった」と書いたけれど、改めて思い返せば書きものの仕事面はおかげさまで充実していた。予想では胸を張れないのが情けないが・・・。
その書きものの中でも、最も楽しい仕事だったのが、大越正実さんが作られた「これが好き!ニッポンの歌」(音楽出版社刊)だった。お読みになった方も多いと思うし、2012年の仕事を何か1つ振り返れと言われたらこれになる。100名の著名人の末席を汚させていただいた。
もう発売されて半年以上経つので、私の選んだ30曲については公開する。大越さんも許して下さるだろう。順不同。
「悲しき口笛」美空ひばり
「ヨイトマケの唄」丸山(美輪)明宏
「夕陽が泣いている」ザ・スパイダーズ
「ウルトラマンのうた」みすず児童合唱団
「帰ってきたヨッパライ」フォーククルセイダーズ
「時には母のない子のように」カルメン・マキ
「風をあつめて」はっぴいえんど
「春夏秋冬」泉谷しげる
「昭和ブルース」天知茂
「襟裳岬」森進一
「ファンキーモンキーベイビー」キャロル
「あの日に帰りたい」荒井由実
「流星」吉田拓郎
「津軽海峡冬景色」石川さゆり
「わかれうた」中島みゆき
「さよなら」オフコース
「サムデイ」佐野元春
「とまどうペリカン」井上陽水
「たかをくくろうか」ビートたけし
「DON’T TRUST ANYONE OVER 30」ムーンライダーズ
「都市生活者の夜」JAGATARA
「ホーム・スウィート・ホーム」矢野顕子
「空がまた暗くなる」RCサクセション
「はじめて」小川美潮
「満月の夕」ソウルフラワーユニオン
「ロビンソン」スピッツ
「どうにかなる」町田康+グローリー
「今宵の月のように」エレファントカシマシ
「夜空ノムコウ」スガシカオ
「いつか風になる日」元ちとせ
縛りはもちろん邦楽。またワンシンガー1曲。そして曲に洋楽の影響が強く出ていたとしても、どこかに日本的要素が隠せず滲んでいるもの。なお自分が好きな音楽、影響を受けた曲というのとはまた別であることは申し上げておく。もちろんどれも好きな曲ではあるのだが。
こうしてみて、あらためて入れておけば良かったかなあと今でも後悔しているのは、北原ミレイ、岸洋子、ちあきなおみ。
うたをテーマにした選定なので、詞の表現力の高潔さ、音と言葉のくっつき具合を何よりの基準とした。このメロディー、このリズムに、まるで必然的に付着しているかのような言葉。その向こうに見える風景の美しさ。特に90年代以降の日本の歌が喪失した部分である。単なる自己憐憫や人生応援歌なんてゴミでしょ。
敢えて断言してしまうが、90年代以降の音楽は詞が絶望的なほどにつまらなくなった。それと同時に歌が堕落した。反感承知で誤解を恐れずに書くと、今の30代以下の人たちに対して、音楽的な部分の文化については、かわいそうにさえ感じてしまう。
こういう仕事を受けるのは、実はとても勇気のいることで、なぜなら映画にしても音楽にしても、「私はこれが好きです」と公開することは、自分がどういう人間か知られることに等しいからだ。それでなくてもかつては音楽については前線で仕事をしていた立場なので、生半可な選曲はできない。それだけにかなり煩悶して選んだのだが、それもまたとても楽しい作業であり、いつしか自分を良く見せようという思いも消えていた。
まあ私の駄文はともかくとして、ぜひ他の高名な皆さんの選曲ラインナップとエッセイを見てもらいたい。5月に出た本だが、改めてご一読を勧める。アマゾンのリンクは
さて、これが年内最後の更新となります。お付き合いいただいてどうもありがとうございました。読んで腹を立てることになる記述も多かったと思いますが、来年もそうなるでしょう(苦笑)みなさま良いお年をお迎えください。
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