ジャパンC感想
ジャパンC前の高揚感、レース内容の濃密さ、さらにその前後にツイートしすぎたこともあり、日曜夜からはロスというか、逆に競馬に触れたくない気持ちになってしまい、本来は日曜のうちに書いておきたかった感想を放棄した。一夜明けて、数字どうこう抜きにした、ジャパンCのレースそのものに限った所感を思いつくままに。
これはもう誰もが指摘するところだけど、レース内容を引き上げたのはキセキの大逃げで間違いない。4角回ったところでは、これは逃げ切りもあるなと、世紀の憎まれ役を承知の浜中騎手に舌を巻きかけたが、坂を登ってからはさすがに止まった。2000m通過が天皇賞より速いというペース。タメ逃げというより玉砕的なペースで引っ張ると、過去の大レースの例でもそうだが、能力の高い馬が順当に走る決着になるのが常で、今回もその例に漏れず。ただ小難しいこと抜きにして、競馬を初めて見るという人にも、とても分かりやすい形でスリルを伝えられたのではないだろうか。
アーモンドアイについては、「勝者には何もやるな」(寺山作品好きな人にはおなじみのフレーズ)ということで、そしてこれで引退だから、改めて賞賛するのも癪なくらい。強さも器用さも両方備えていて、そして距離的にはやはりマイルより2000mから2400mがベストということ。勝負根性云々の局面になる前にカタをつけてしまうという、何とも愛想のない勝ち方が多かった。それだけ位置取りも巧く、かつ抜け出す時の瞬発力もケタハズレということだ。敢えて憎まれ口を叩くなら、サラブレッドの本質的な体力を問う阪神2200や中山2500での勝利だけが足らなかった。
蛇足だが、これで2020年度代表馬は確定した。
コントレイルは、当日パドックを見て、これは凡走しても仕方ないかとまで思えた。菊花賞の反動は間違いなくあり、ギリギリに見えた。それでいて2着確保は大したもの。最後は苦しがってヨレ、初めて弱さを見せたが何とか凌いだ。ひと息入れて、万全のデキで来年の中距離路線へ。クロノ、グラン、デアリングら女王軍団、さらにサリオスとぶつかりあって日本競馬を盛り上げてほしい。
デアリングタクトは、よくぞ3着を取り切ってくれたと思う。上がり3F最速は0秒1差コントレイルに譲ったが、上がり2Fだったらおそらくこの馬が最速だったと思う。女王杯レベルはいつでも勝てるだろう。
コントレイルもそうだが、小回りでも広いコースでも対応して走れるのが強み。GⅠ勝ち数だけなら、将来アーモンドアイを超えることも無理筋ではない。距離も2500mまでは全然大丈夫、というか、マイルや1800mでは短い。そして松山騎手とのコンビは絶対に解消してはいけない。引退まで乗るべきだ。
カレンブーケドールは、去年よりメンバーが強化するので、どう走っても4着までと見て印を抜いたが、確かに4着とはいえ、この相手であのレースができるとは思わなかった。2着争いという視点なら惜敗の4着。女版ステイゴールドというか、競馬史に何頭かいる、重賞未勝利の一流馬に現状はなってしまっているが、こういう馬はどこか相手の楽なところを使って勝って、勝ち癖をつけた方がいいと思う。生まれた時代も不運だったか。
グローリーヴェイズは川田らしい強気に勝ちに行く競馬、一時は2着確定かと思ったが、最後は止まった。超一流の域にはあとひと押し必要。しかしもっと強くなれる馬体をしている。メジロ牝系を継いだ馬として、来年は去年勝ち損ねた春の天皇賞を当面の目標に、国内GⅠを狙ってほしい。そして秋はもう一度JCで。
何気にワールドプレミアが6着に入っていたのは見逃せない。久々でパドックからずっとテンションが高かった。使って落ち着きも出るはずだし、皮膚の内側から張るところのなかった馬体もよくなるはずで、ぜひオーナーが華燭の典を挙げる有馬記念週に登場し、昨年3着の上を狙ってほしい。
その他の土日のことや、ジャパンCの周辺的なことは後日。
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