朝に感動、夕に驚嘆
前回の続き、土曜夕方以降。
府中開催もラスト、土曜の競馬が終わって20分後にはもう自宅に戻れる楽なスケジュールも、これで当分おあずけとなる。ただ土曜にゆったりと仕事ができて、翌日何時に起きても構わないという恵まれた身でも、さすがに深夜2時半のサウジカップをリアルタイムで見ることは、年齢的に無理。日付が替わってまもなく就寝、結果は翌朝にYoutubeにアップされたJRAのコンテンツで、結果を知らないままにして見た。
レースについて今更書いても遅いので省略も、これは結果を見ないようにしていてよかったと心から思える内容となった。フォーエバーヤングの強さは分かっていたことだけれど、彼の精神力はその上を行っていたようだ。と同時に、体も強くないとあんな競馬はできないだろう。海外競馬における矢作厩舎の仕上げには畏怖の念すら覚える。
偉業にかこつけて、かなり浅ましいことを書くけれど、今売っている雑誌「競馬の天才」の連載で、自分は今年のJRA賞、とくにダート部門でフォーエバーヤングが選ばれなかったという現実から、日本の競馬が新しいフェイズに入っているのだから、投票者の意識も変えるべきであり、投票する側にも競馬力や競馬観が問われる時代になったということを書いた。その意味では個人的にも快哉を叫ぶ結果となったということ。
同様の思いを持たれた方は他にもいらしたようで、ラジオ日本の競馬中継を聞いていたら、とある高名なベテラン記者の方が「自分はダートだけでなく年度代表馬部門でもフォーエバーヤングに投票したので、溜飲が下がった」とおっしゃっていた。
とにかく、今後のフォーエバーヤングの軌跡がどう刻まれていくか、楽しみでならない。まずはドバイワールドCだが、その後はおそらく秋のブリーダーズCを目指すのだろう。しかし個人的にはジャパンCで走るところも見てみたい。エンジンがトップに入るまで少し間が必要な馬だし、加速の仕方が持続力タイプなので、芝であれば東京の2400が一番向いているように思えるのだ。
もう金曜なので、私自身の細かい諸々は取っ払って日曜のフェブラリーS。想定できなかった緩いペースとなり、これが結果を左右した印象だが、コスタノヴァはどんな流れでも勝ち負けに持ち込めていたと思う。中2週ローテの危惧、そして殺人的スケジュールで臨戦したキング騎手への心配など、こちらの懸念すべてを嘲笑うような完勝ぶり。来年のサウジ遠征が早くも陣営から発せられたが、それも当然と思わせる内容だった。
速い流れだと追走に苦しむと思われた中距離タイプの馬たちが2,3着。地力を示した。しかも無印にしたサンライズジパングの方に連対されてはぐうの音も出ない。内へ潜り込んできた幸騎手の手綱にも驚く。ミッキーファイトは勝ち切るかという手ごたえだったが、ラスト1Fは前とは詰めていても脚は鈍っていた。ペプチドナイルを抑えたところでゴール。
そのペプチドナイルは我が本命。受けて立つような競馬をしてしまって、去年のように攻める感じを受けなかったのが残念。ただできる範囲での力は出せている。
最後に触れておきたいのは超人的なキング騎手。私に常識がないだけでプロアスリートならこの体力は当然なのかもしれないが、素直に驚嘆した。しかもこの日は7Rまでに2着4回のあと(7Rは本当に有難かった)、ヒヤシンスS、フェブラリーSと勝利。イギリスでチャンスに恵まれず、オーストラリアに渡ってスタージョッキーとなったという強さの源か。
そして、JRA初の女性騎手のGⅠ勝利ともなった。こういう視点でクローズアップすることを、別に間違いとは思わない。女性なのに、とか、女性のくせに、とか、女だてらに、というのならそれは正されるべきだが、女性騎手が男性騎手に伍して初の偉業を達成したということは事実であり、そこには何の偏見も混じっていないからだ。日本の女性騎手たちにとって励みとなるのも間違いない。
ただ、それを感想として第三者的に述べたり書いたりすることはいいが、直接女性騎手本人に伝えるのは失礼かな、とは思う。何の偏見もない、と先に書いたがそれはあくまでこちらの話であって、本人は性別関係なく、1人の騎手としてありたいし見られたいと思っているはずで。言われる側が辟易するようなことがないとは断言できないからだ。
スポーツに限らず、差別や偏見を覆して(覆し切れているとは思えないが)権利や社会的地位や新しい常識を作ってきた女性の歴史というものには、敬意を払うべきだ。
今回のキング騎手の「日本での」GⅠ勝ちが、少なくとも競馬ファンの中においてだけでも、日本社会におけるそうした強張りをほぐす上での一助となれば良いと思う。
予定です。
◆ラジオ日本の土曜競馬実況中継、今週末から中山へ。今開催は午後前半、13時すぎから9Rの回顧まで担当します。
◆競馬予想TV、私の次回の出番は弥生賞週です。3月は他に阪神大賞典週、高松宮記念週に出ます。
◆YouTube、次回は未定ですが、近々日曜に生配信をやるかもしれません。
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